大スキャンダルに転嫁された「西山事件」

突然ですが、「西山事件」をご存知でしょうか。

1971年、毎日新聞の西山太吉記者が沖縄返還を巡って日米間に密約があるという情報をつかみ、国レベルの大問題に発展した事件のことです。

国家機密を暴き、当時の佐藤政権の逆鱗に触れた西山記者は完全に悪者にされ、本来なら追究されるべき密約についての真相は闇に葬られました。

「悪者」というのは、既婚の西山記者が既婚の女性事務官と男女の仲になり、国家機密情報を聞き出したことが分かったため、まだまだ不倫など許されなかった当時の日本では凄まじい批判を受けたのです。

最も批判されるべきは密約をした佐藤政権のはずなのに、世論の矛先は不倫をして情報を得た西山記者に向けられました。

西山記者と女性事務官は国家公務員法違反で逮捕され、毎日新聞もこの事件をきっかけに部数が激減したと言われています。

元毎日新聞記者の山崎豊子が「運命の人」という小説で描いており、2012年にテレビドラマ化されたので観られた方も多いでしょう。

今では珍しくない⁉

なぜ、こんな話を持ち出したかと言うと、今では西山記者のような例は珍しくないからです。

先日もライター時代の後輩に同じような話を聞いたのですが、ある有名スポーツ選手の引退をスクープした女性記者は、その選手と男女関係だったそうです。

実はそのような話はこれまでにも聞いたことがあります。

業界内でそのような噂が流れると社内で人事異動になるか担当を変えられることはあっても、公にならない場合がほとんどです。

スクープを取るには信頼関係が命

そもそもスクープは人間関係がなければ取れません。

第三者からタレコミがある場合もありますが、基本的には記者が取材対象や関係者といかに信頼関係を築き、まだ世に出ていない情報を独自に引き出すかにかかっています。

情が湧いてくると「この人にはこっそり教えてあげよう」とリークする場合もあるし、あるいは何かの意図があってマスコミを利用したいがために仲のいい記者に書かせる場合もあります。

記者はその時のために普段から酒を飲んだり、貸しをつくったりしながら距離感を縮めていくのです。(参考→記者時代の裏話を明かします「スクープの取り方」

いるだけで目立つ女性記者

ただ、それが異性の場合、時として男女の仲になってしまうことがあっても不思議ではないでしょう。

多くの取材現場では男性記者、ライターが多いので、女性がいるだけで目立つのは事実です。

例えばニュースで政治家が記者に囲まれながらコメントしている様子を見たことがあると思いますが、その中に女性が何人いるか、試しに数えてみてください。

今年も財務次官のセクハラ問題がありましたが、セクハラだけでなく、一線を越えてしまう可能性だってあるのです。(参考→セクハラ、パワハラをなくす方法

決して不倫やセクハラを肯定するつもりはないし、男女関係になって情報を引き出すのは全うな取材活動とは言えません。

ただ、西山事件の頃とは価値観が大きく変わっているのが現実です。

西山記者は国を敵に回してしまったこともあって社会的制裁を受けましたが、もし今ならそこまで問題になっていなかったかも知れません。