福山雅治主演ドラマ

TBS系列で日曜夜に放送されている「集団左遷」というドラマをご存知でしょうか。福山雅治演じる三友銀行蒲田支店長が、廃店という本社の方針に抗って「半年で利益100億円」という到底不可能なノルマ達成に向けて頑張るという、分かりやすいストーリーです。

シリアスなテーマなのにコミカルタッチなのが不満なのとキャストもイマイチなんですが、つい観てしまうんですよね。何と言っても「左遷」がテーマですから。

実際、左遷されてあんなに明るい人はいないと思いますが、闘志が沸いてくる気持ちや、努力しても報われない悔しさなんかはよ~く分かります。

三菱UFJは営業や海外拠点に異動

そんなタイミングでキャッチ―な報道がありました。

三菱UFJ銀行が2023年までに本部に所属する約6000人を半減させ、営業部門や海外の拠点に異動させるそうです。

業務の効率化を図って最適な人員配置によって収益力を高める狙い…などと、もっともらしい理由を付けていますが、実際は退職金を割増せずに自主退職を促すという姑息な手段ですね。

最近、流行ってるんですよ。早期退職制度を導入すると、割増退職金を支払うための原資が必要になるので、不本意な人事異動や、給料を減らすことによって自主退職に追い込むというやり方が。

聞くところでは、日本郵政が「同一労働同一賃金」を大義名分にして、職員の諸手当を廃止し、結果的に経費削減に成功したのが前例になったそうです。正社員と同じ仕事をしているのに非正規社員の給料が安いのはおかしいから、正社員の給料を下げるという理屈です。正社員は受け入れるか、嫌なら辞めるしか道はありません。

かく言う私も、前の会社で同じ手段の人減らしを体験しました。会社が全社員の大幅給与カットを発表し、労働組合とはもめていましたが、一方では会社の狙い通り退職金を上積みせずとも次々と社員が会社を去りました。私もその一人です。

三菱UFJの例を見ても、多くの大企業は人が余っているんでしょうね。今まで内勤だった人が、急に営業をやれと言われたら地獄ですよ。厳しいノルマに追い込まれ、鬱になる社員も出るでしょう。

逆に営業マンに明日からエンジニアになれということはないでしょうけどね。技術職は代わりが利かないので、そういう意味では強い立場です。別に営業なら誰でもできるという意味ではなく、専門的な技術はいらないという意味ですよ、念のため。

道路工事のような仕事を繰り返してきた?

そもそもいくら効率化と言っても、社員を半減させても大丈夫な組織ってどうなんでしょうか?

内情は知りませんが、普段から仕事のための仕事みたいなことをしてると思いますよね。予算を使い切るために道路を掘って埋めるような仕事がいっぱいあるんだと思います。

これまではその無駄な仕事をいかにうまくやるかが社内で必要なスキルだったのでしょうが、そんなことばかりしていた社員はこれから使いものにならないでしょう。一歩、社外に出たら通用しません。ということは辞めるに辞められないので、どんな嫌な仕事でも、とんでもない僻地に転勤になっても、会社にしがみつくしかなくなります。

逆に仕事のできる社員は、社外でも通用するスキルや人脈があるので辞めていくでしょう。残るべくして残った社員が増えると社内の空気はどんどん悪くなり、効率化したはずなのに生産性はますます落ちていく、という負のスパイラルにはまっていきます。

適材適所こそ組織力強化につながる

人それぞれ得意ジャンルを活かすポジションに付けるのが組織力を高める近道なのは間違いないと思います。大谷翔平にキャッチャーをさせて、ダルビッシュにファーストを守らせてもチームは強くなりません。ジェフが投げて、藤川球児が続いて、久保田が締めるからこそJFKは機能したのです。誰かが先発だったらそうもいかなかったでしょう。

適材適所を見極めるのは難しいですが、それをするのが上司の役目。人を大切にせず、単なるコスト削減の対象としか見ていない三菱UFJの施策は、仮に人減らしにつながったとしても、組織全体に悪い影響を及ぼすと思います。

TBSの「集団左遷」は1クールで終わりますが、UFJの「リアル集団左遷」はロングランだけに、これからどうなるのか注目です。