不審者扱いもしばしば

世の中の大多数の方は人生で一度もすることがないであろうことをライター時代に何度も経験しました。

何だと思います?

  

  

  

  

ピンポーン。正解!

そう、「張り込み」です。

きな臭い噂を聞いたり、ニュースの臭いがした時、あるいは著名人が不祥事を起こした時など様々な状況で、取材対象の自宅や職場などの前に立ちます。

ただ、ひたすら立ちます。

通りすがりの人や近所の住人に不審そうにジロジロ見られるのは当たり前、時には警察に職務質問されることもあります。

しかし、そんな時も怖じ気づくことなく事情を説明すると、警察官も理解してくれます。

日本では「取材、報道の自由」が保証されているのです。

寒い時期や雨の日は最悪

と言っても、ただ立っているだけでは仕事をしたことになりません。待ち人をつかまえて話を聞く、そしてまだ世間的に知られていない情報を仕入れられれば大成功です。

しかし、そんな簡単にはいきません。特に今の時期の張り込みは最悪です。

だって寒いもん!

ズボンの下にパッチを履き、シャツの下にはカイロを忍ばせ、手袋、マフラーで厳重装備してもまだ寒い。

逆に夏は暑い。←当たり前

雨の日はうっとおしい。←当たり前

とにかく快適な張り込みなんてあり得ません。

それでも狙っていた対象者に話を聞ければいいですが、姿を見せず空振り…なんてこともしょっちゅうです。

あるいはやっと捕まえたものの無視されて収穫ゼロだったり、嘘をつかれて真相にたどり着けなかったり、狙い通りにいくことは稀です。

まずトイレの場所を確認

もうひとつ困るのが生理現象。

寒いと特に催すんですよね。

張り込みの場数を踏むと、まずコンビニの位置を確認するようになります。

最近はどこにでも1軒くらいはコンビニがあるので助かりますが、以前は公衆トイレやトイレを借りられそうな公共施設などを探し回ったものです。

運悪くその間に取材対象者が姿を現し、逃がしてしまったなんてことになったら目も当てられませんからね。

張り込みは夜にするイメージが強いかも知れませんが、そうとは限りません。

朝の出勤時間を狙い撃ちすることもあります。「朝駆け」と言われるやつです。

午前6時頃から自宅の前で出てくるのを待ち、ドアが開いた瞬間にストレートに質問をぶつけると、不意を突かれた相手がつい話してしまうなんてことがあるんです。

近くに空地しかなかったあの日…

一度、とある社長さんの自宅を朝から張り込んでいたことがありました。

高級住宅街のため公衆トイレはおろか、コンビニもありません。

しかし、ウン悪く、腹具合が悪く、そろそろ社長の迎えのハイヤーが来そうなのに、私の我慢も限界に来そうという極限状態に陥りました。

ソワソワして周りを見渡すと、近くの空き地に気付きました。

あそこしかない!

人間、追い詰められたら何でもできます。

私は空き地でしゃがみこみ、迷いなくズボンとパンツを一気にずり下げ、ひと思いに自分を解放しました。

今まで、よく耐えたな。偉いぞ、俺!

私が気を緩めたその瞬間、ハイヤーが横付けされると社長があっという間に乗り込み、ブロロロ~と排気ガスを撒き散らして去っていきました。

しゃがみ込んだまま呆然と見つめるしかなかった私はブロロロ~とメタンガスを放出してやりました。