一方的なKO劇に賛否両論

皆さんは大晦日はどのように過ごされましたか?

私は紅白歌合戦と格闘技をハシゴしたのですが、井岡一翔の世界戦は期待外れだったのものの、那須川天心の試合とサザンオールスターズの「希望の轍」はよかったですねえ。

天心が真っ向から立ち向かったおかげでエキサイティングな試合となりました。

ネット上では賛否両論が飛び交っていますね。

天心がかわいそうとか、メイウェザーはぼろ儲けだとか、試合を組んだRIZINへの批判とか…。

ボクシングの前世界ミドル級王者・村田諒太も自身のFacebookで批判していました。

メイウェザー来日か本気で試合する人間が、時差あるところに直前に来るかねなんちゅう無理のある盛り上げ方と言うか、商法一生懸命ボクシングやってる選手がアホらしくなるから、あまりウェルカムじゃないな、こういう茶番劇那須川君は一生懸命だし、良い子なんで応援したいですが、商法として、なんだかなあほとんどのボクサーがそう思っているんじゃないかと思います

村田 諒太 Ryota Murataさんの投稿 2018年12月29日土曜日

全て正論ではあるのですが、個人的には興行としてアリだと思っています。

本来ならあり得ないマッチメーク

確かに元々4階級も違うメイウェザーと天心が戦うことは普通ならあり得ません。

格闘技では体の大きい方が有利なのは言うまでもなく、ボクシングでは同じ階級でさえリーチの差が勝敗を左右することもあるし、身長の低い選手や体重の軽い選手はハンデを背負っています。

ましてや天心はキックボクサーなのにキックなしのルールで4階級も上の世界的スーパースターと戦うのですから、高校生打者が木製バットでメジャーリーグの投手と対戦するようなものです。

メイウェザーはプロボクシングの本場・米国で、パッキャオら名だたる世界の強豪に勝ち続けて5階級を制覇し、50戦無敗のまま引退したスーパースターです。

いくら天心が国内リングで無敵だと言っても、ボクシングルールで勝てるはずがありません。

だからこそ天心は8オンス、メイウェザーは10オンスのグローブハンデをつけ(グローブは小さい方が相手にダメージを与えやすい)、公式試合ではなくエキシビションとして組まれました。

批判の矛先はそんな無謀なマッチメークをしたRIZINに向けられています。

RIZINの宣伝効果は絶大

しかし、私はその意見には賛同できません。

大晦日にテレビで全国生中継するにはビッグネームを呼ぶ必要があっただろうし、その目論見通り大きな注目を集めることに成功しました。

メイウェザーのファイトマネーは10億円とも伝えられていますが、宣伝効果を考えれば決して高くなかったのではないでしょうか。

今回の一戦で天心やRIZINの知名度は格段に上がったし、あの無様な負け方をした天心の今後は間違いなく注目されるからです。

戦前のメイウェザーの言動を見ていると完全に天心をなめ切っていたので、私はほとんど手も出さず3ラウンドを流して終わるのではないかと思っていました。

お互いに攻め込まないまま15ラウンド引き分けだったアリvs猪木のような展開を予想していました。

しかし、天心の軽い左が当たったため闘志に火がついたのか、最初は笑顔を見せていたメイウェザーが突然、本気モードになりました。

その結果、天心は1ラウンドもたなかったのですが、そうなる可能性も十分に予想できたので、RIZINとしたら想定の範囲内だったはずです。

そう、RIZINは最初から負けると分かっている試合を組んだのです。

天心への同情は不要

あまりにも内容が一方的だったため天心への同情や、逆にメイウェザーの銭ゲバぶりを批判する声もありますが、いずれも見当違いでしょう。

格闘家としてリングに上がる以上、言い訳は許されないし、ましてや同情しても天心は浮かばれません。

天心の涙から、いかにそれまで本気で勝利を目指してハードトレーニングを積んできたかは想像がつきます。

しかし、勝つか負けるか、二つに一つしかないのが格闘技であり、その結果は受け入れるしかありません。

大切なのは、天心がこの悔しさをバネに這い上がってこれるかどうか。

悲劇のヒーローとなった天心を応援するファンは増えるでしょう。

そういう意味では天心も恩恵を受けているのです(もちろん世界レベルを肌で知るという貴重な経験を積んだ点でもプラスです)。

メイウェザーへの批判は的外れ

また、メイウェザーは引退した身なので、世界のリングを顔見世的に回るというのはごく普通のこと。

3分3ラウンドのエキシビションで10億円もらえるなら「仕事」として断る理由はないでしょう。

メイウェザーにはそれだけの価値があるのです。

興行として大成功

つまり今回はRIZIN、天心、メイウェザーの三者とも全く損しておらず、メリットしかなかったと言えます。

スポーツにビジネスを持ち込むなという感傷的な見方をする方もいますが、アマチュアは別にして、プロスポーツはビジネスとして成立しないとやっていけません。

唯一、注意しないといけないのは、天心がケガをするとか、事故が起きることだったのですが、早めのストップでそれも防ぐことができました。

茶番劇であろうと、メイウェザーが日本のリングに立った、それに立ち向かう那須川天心という勇敢な若者がいたという事実を日本中に知らしめただけで、今回の興行は大成功だったと私は思います。